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チャイムが鳴り、放課後がやってきてしまう。不安の種子を植え付けられたままの頭は、授業の内容を何一つ覚えておらず、辛うじて板書だけされていたノートが寂しく机上に放置されている。
「Aさーん」
跳ねた声に振り返ると、チーノくんがそこに立っていた。瓶底メガネの奥の細められた瞳は、やけに楽しげに輝いている気がする。そんな彼とは対照的に、私の顔はげっそりとしていることだろう。チーノくんの後ろに立っているショッピくんが、私を見るなり溜息を吐いたことで、さらに肩を落とす羽目になった。⋯⋯そんなに酷い顔をしているだろうか。
『は、はぁい⋯⋯』
「そんな緊張せんといてって、大丈夫だから。僕らついてますし、酷いことされるわけでもないんやから！」
「それはどうやろな⋯⋯」
「こらショッピ、余計なこと言うな」
チーノくんがショッピくんの背中をぺしんと叩く。仲が良くて何よりだ。私の不安は煽られる一方だけど。
「とにかくまずは悪魔たるもの、何事も挑戦あるのみ！ ほらほら行きましょAさん」
『う、い、いやだぁ⋯⋯こんな挑戦望んでない⋯⋯』
僅かな抵抗の言葉は、足音の勢いによってかき消された。チーノくんに背を押されるがまま、私は憂鬱な顔を引っ提げて、教室を後にすることになるのだった。
ー
チーノくんとショッピくんに連れられ、悪魔気のない廊下を歩く。不安な気持ちを他所に上機嫌で尻尾を揺らした先頭の悪魔は、ある一教室の前で立ち止まった。目的地に着いたのだろうか⋯⋯そう思い頭上へと視線を移すと、看板に使用禁止の貼り紙が目に付く。その上にある第三倉庫、という文字を読み上げた直後、勢いよく扉が開かれた。
「ようこそいらっしゃいました、ここが我々師団の本拠地です！」
あぁ、止めるタイミングも失った。ここって、入ってはいけない教室なんじゃないの。そんな戸惑う思考も、手狭な部屋の全容が明らかになったことで、声の形になる前に喉を通り過ぎていってしまった。
部屋の中は埃っぽく、今までほとんど誰も使っていなかった、といったような有様だった。床にはごちゃっといくつかの私物が置かれている。ゲームに、空のペットボトル、ゴミ袋に寝袋。本棚だけはやたらとみっちりと埋められている。
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いらお(プロフ) - お皿さん» ありがとうございます、はてなマークに笑っちゃいました（笑）応援とても嬉しいです、頑張ります！ (2023年3月2日 7時) (
レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - りうっこさん» 返信遅れて申し訳ありません。ありがとうございます、ストライク取れて光栄です！ゆっくりにはなるかと思いますが、更新した際にはぜひチェックしてやってください…！ (2023年3月2日 7時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
お皿(プロフ) - 陰から応援してる者です...もう、本当に大好きです...ありがとうございます（泣）（？）これからも陰ながら応援させていただきます。頑張ってください!! (2023年3月1日 22時) (レス) @page27 id: 5bd738696b (このIDを非表示/違反報告)
りうっこ - ぶっ刺さりました。ドストライクです… 割と久しぶりの感覚かもです！更新めちゃくちゃ楽しみにしてるので、頑張ってください！！ (2023年2月3日 9時) (レス) @page26 id: 182708b139 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - 明日花さん» コメントありがとうございます、すごい嬉しいです！拙い作品ではありますが、明日花さんの性癖に刺さったのでしたら光栄に思います。ゆったり更新してまいりますので、気が向いた時にでもまた本作品を読んでいただければ幸いです！ (2023年1月6日 22時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いらお | 作成日時：2022年12月28日 16時
