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悪魔達のひしめく門の前に着き、私は地面に降り立った。ぴっしりと真新しい制服に身を包んだ生徒達はどこか浮き足立つようにソワソワとしていて、わかりやすく「新一年生である」ことを表している。私もきっとその1人だろう。どきどきと鳴る胸の音に気が付きながら、教師らしき服装に身を包んだ大人の指示に従って歩く。
周りをキョロキョロと見渡していて、前をしっかり見ていなかったせいだろう。私は、前方にいる人の背中が、自分の思っている以上に近づいていたことに気が付かなかった。とん、と顔がぶつかる。
「わっ」
驚いたように、低い声と共に、目の前の悪魔が振り返る。男子の声だった。
「ちょっと、何やねん」
明らかに非難の意味を込めた、不機嫌そうな台詞に身じろぎした。こんなところで急に揉めてはまずい。罪悪感と危機感でさっと顔が青くなるのを感じつつ、私はペコリと素早く頭を下げた。
『す、すみません⋯⋯！」
少し声が震えてしまっていることに気が付きながらも、どうにか足早にその場から離れる。緊張のせいで、相手の顔をまともに見ることすらできなかった。
ちょうど体育館の前まで来て、歩くペースを元に戻す。夢中でここまで来たので、息が乱れていた。思わず、大きな溜息が漏れる。
『さ、最悪⋯⋯』
門出の日に起こしたミスは、私にとって大きな失態のように思えた。始めからこんなことで、どうするんだ。頬を叩き気を取り直し、大丈夫だ、と心の中で自分を激励する。少しだけ、気分が切り替えられたような気がした。私は新入生達が参列している場所へと歩みを進めた。入学式が、間もなく始まるはずだ。
ーーーーーー
逃げるようにして姿を消した女生徒の背中を、ある男子生徒が唖然として見つめていた。ぶつかった表紙にふわりと香った匂いは、分かりづらかったが、どこか覚えがあるような気がする。
すん、と、確認するように鼻を鳴らす。もう既に残香は失われていた。
「⋯⋯あいつ⋯⋯」
動く人の群れの中へと消えた姿を探すように、彼は視線を動かした。もしかして、と、ある予感が脳裏に浮かぶ。期待以上に面白い学校生活になるかもしれないと、胸の高鳴るままにやりと笑うその顔には、まさしく悪魔の微笑みというに相応しいあくどさがあった。
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いらお(プロフ) - お皿さん» ありがとうございます、はてなマークに笑っちゃいました（笑）応援とても嬉しいです、頑張ります！ (2023年3月2日 7時) (
レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - りうっこさん» 返信遅れて申し訳ありません。ありがとうございます、ストライク取れて光栄です！ゆっくりにはなるかと思いますが、更新した際にはぜひチェックしてやってください…！ (2023年3月2日 7時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
お皿(プロフ) - 陰から応援してる者です...もう、本当に大好きです...ありがとうございます（泣）（？）これからも陰ながら応援させていただきます。頑張ってください!! (2023年3月1日 22時) (レス) @page27 id: 5bd738696b (このIDを非表示/違反報告)
りうっこ - ぶっ刺さりました。ドストライクです… 割と久しぶりの感覚かもです！更新めちゃくちゃ楽しみにしてるので、頑張ってください！！ (2023年2月3日 9時) (レス) @page26 id: 182708b139 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - 明日花さん» コメントありがとうございます、すごい嬉しいです！拙い作品ではありますが、明日花さんの性癖に刺さったのでしたら光栄に思います。ゆったり更新してまいりますので、気が向いた時にでもまた本作品を読んでいただければ幸いです！ (2023年1月6日 22時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いらお | 作成日時：2022年12月28日 16時
