▶︎ ページ27
「Aちゃん、こんなん食べてもうてええん？」
『こんなので良いのであれば』
泣いて泣いて泣きまくった後、すっきりしているからという理由で鬱の部屋へと向かう。目が赤くて一瞬ぎょっとした様な顔をしたが、何でもないと鬱にご飯を差し出せばキョトンとした顔をされる。
「いや、僕インスタントラーメンとか気になっててさ。3分待ったら出てくるみたいな。こんな凝ったもん出されるとは思ってなくてさ」
『それ高いし、味に段々飽きてくるんですよね。それでも文明の力ですし、結局自分でご飯作る気力が無い時は頼っちゃったりとかはありますけど。兄さ……人にご飯作る時は気力が出るんですけど、如何しても私1人のご飯となると面倒臭くなったりとか』
「ずっと思ってたんやけどAちゃんって何があったん」
余りのAの闇の深さに流石の鬱でも困惑した。こんな人生送ってたら精神崩壊してないのが凄いなと思うくらいには。寧ろ壊れていた方が精神鑑定で死罪にはならなかったのだから、其方が幸せだったのかもしれないけれど。
食事も中盤に入り、そろそろタイムリミットかと思ったAだが、意外と鬱の近くに居ようが特に何も発症していない為にまだ耐えられるとセルフチキンレースをしていた。先人の特別研究員には鬱によって壊された人間も居るというのに何とも悠長な女である。
「そろそろ7分やから出た方がええで。食器は部屋の外に出しとくわ」
『え、部屋の外に出せるんですか？』
「物体を気化させる事が出来るからな。ちょっと煙草貸して」
扉は鍵が無いと開けない筈だ。そう謎に思いながらも鬱に言われて持っていた煙草を渡す。既に食べ終わった味噌汁のお椀に鬱が煙草の煙を吹きかけると忽ち空間の微粒子へと変貌した。
『わ、凄い……』
「ご飯と煙草くれたAちゃんに特別サービスで俺の能力開示ね。博士とか他の研究員やったら死ぬ程喜ばんとちゃうんやろか。……そのまま死ねばええのに」
『鬱さん？』
「ああいやいや何でも無い。それより外出るんやで。美味かったわ、じゃあな」
最後の鬱による人間の恨み節はしっかりとAにも聞こえていて背筋を凍らせる。だが、それを聞く前に鬱によって強制的に外へと出された。自分の能力に全然怯えてすらいないAに、「自然界で最初に死にそうなタイプ」と形容して残りのご飯をゆっくりと食べ始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 613人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
オバケ(プロフ) - 続編が8回…！？もう一回遊べるドン！×8は嬉しすぎます。無理のないよう僕たちに尊いを供給してください、お願いします！！ (4月30日 21時) (
レス) @page50 id: db93c912f5 (このIDを非表示/違反報告)
n(プロフ) - すごく面白かったです…！！応援してます！ (4月13日 6時) (レス) @page50 id: 55db97e30c (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - なーとどさん» ありがとうございます……！！続編は少しだけ手直ししているのですが、ぼちぼちと更新していこうと思っております！！ (4月10日 17時) (レス) id: bdf8650039 (このIDを非表示/違反報告)
なーとど(プロフ) - この作品に出会えたことに凄く感動してます！！続きいつまでも楽しみに待ってます！ (4月10日 16時) (レス) @page50 id: 13e99d6a75 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - アホですさん» ありがとうございます！！面白いと言ってもらえて感無量です……！れ (4月9日 17時) (レス) id: bdf8650039 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
